仕事をしていると、一人でできることは限られるので他の人の協力が必要な場面が発生します。そういった際にどうやって他人を巻き込むかについて考えました。
具体的には、「理屈を説明して説得する。以上。」、というスタイルは常に正しいとは限らないことを考えて行動する必要があると感じています。
もちろん、経営層に新規技術を説明して導入を提案する、といった場合には理屈を説明して納得して貰えば通ることもあります。 一方で、実際には理屈はうっすらと分かってはいるが何らかの理由で動きたくない、という人を巻き込まなければならないケースも少なからず存在します。この見極めを間違えて対応を謝ると、関係性が大きく拗れてしまいます。
本当に理屈を知らずにやっていないのか、理屈以外のところで意識・無意識問わず何らかの抵抗があるのか、あるいは両方か、という見極めです。
これは自分に対しても思い当たるところがあって、例えばドラッカーのマネジメント論を読んで感銘を受けた(と感じている)上司が勉強会を開催し、書籍のロジックで業務改善を促してくるときなど、「マネジメント論は10年以上前に読んでる。でも実際の環境にすぐ適用できるようなものではない(そんな簡単に適用できるならとっくにしている)。現状から分析して必要な施策を打って適用しようとすると必要な工数がそれなりにあって費用対効果が見合わない、または見合うとしても面倒なのでやりたくない」なんて思っていることがあります。
費用対効果が合わない、といったケースでは割と説明しやすそうですが、概算で納得しない上司向けの場合には精緻な試算の作成が必要な場合だと面倒になります。 面倒と思っている場合、実際には自分に降ってくる作業が多そう、予算取りの折衝が面倒、キーパーソンを巻き込む交渉が苦手、といった無意識の理由が原因となっている可能性があります。
こういった本筋の理屈とは別の理由がある場合、説得を受ける側はその理由を明らかにしない(or言語化できない)場合が多いので、説得しようとしても噛み合わない、納得しない、という結果になります。
さらにタチの悪いことに、理屈で説得しようとする側は理屈が合っている以上自分が正しいと思っているので、どうしても上から目線になりがちです。自称コンサルが使いそうな見慣れないカタカナのワードを並べ立てたり、「こんなことも分からないの?」といったニュアンスが滲み出てしまい、理屈でないところの反感を買ってしまってさらに拗れてしまいます。 そもそも、理屈には必ず前提条件があり、理屈を並べる際には前提条件は本当に満たされているのか、と常に意識しないといけないと思います。そういった謙虚で真摯な意識が薄れがちになってしまいます。
で、どうするか。自分の結論としては、積極的に巻き込むのは諦め、環境を整えて相手が巻き込まれにくるのを待つ、というスタイルでいこうと考えています。
他の方法として、相手にどう思われようと積極的に巻き込むスタイルもあると思います。ROOKIESの川藤先生のように、周囲の反発をもろともせずに相手を説得し、巻き込んでいくスタイルです。ただこれ、すごくエネルギーが必要だし、説得する人に人間的な魅力が大きいことが大前提と思います。また、一時的に組織のパフォーマンスは落ちるのでそれを受け入れられるかという点も重要そうです。うまくいけば、パフォーマンス向上の効果は大きく、期間も短く済むかもしれません。 ですが、ハイリスクハイリターンで、失敗すれば組織のパフォーマンスは下がったままで、組織内に対立関係が生まれてしまうかもしれません。
意識高い系の中途入社の社員が業務改革/改善を訴え、現場の状況を理解しないままに経営層のみ説得し、現場の納得を得られない状態で改革を進めようとして頓挫し、退職していくというのを私も見てきました。
私が積極的に巻き込む方法を取らないのは、取れないからです。自分の業務の改善/改革には情熱を持って取り組んでいますが、他者を巻き込む場合にそこまでの情熱を持てないというのが正直なところです。また、社内でも平均的どころかぶっちぎりで人と喋らない、コミュニケーションを取らないタイプなので、情熱を補う人間的な魅力もないです。
ただ、だから全てを諦めるというのは違うというので、自分にできることを以下のように進めていこうと考えています。
- 自分のみの業務は情熱を傾けて圧倒的に改善する
- 他者を巻き込む改善が必要な場合、まずとても軽い改善提案を投げてみて、拒否/応答なしの場合はそれ以上踏み込まない
- 自分だけでできる範囲内で改善を行い、さりげなくアピールして巻き込まれてくれるのを待つ
- 巻き込まれに来てくれたら、全力でサポートする。マウント、上から目線は禁止。相手を尊重し、相手の立場の理解に努める。
- 筋トレをする
- 他者を巻き込むのはエネルギーがいるので、燃料不足にならないよう体力をつけておく
積極改善路線と比較するとスピードは落ちますが、今の自分には合っているので、やってみようと思います。